脊椎の中には脊髄神経が通っており様々な要因で神経障害が発生します。腰痛、手足のしびれ、背部痛などで日常生活が不自由になり悪化すると手足の麻痺が生じます。また、高齢社会になり加齢に伴う脊椎疾患が急増しています。
このような増加する脊椎疾患患者に対応し地域医療に貢献するため脊椎疾患に特化した脊椎外科センターを開設いたしました。脊椎専門医5名が地域に最良の脊椎外科治療を提供できるよう努めてまいりまいります。
【医療機関の皆様へ】
ご紹介いただく場合、「脊椎外科センター予約係」(011-764-3344)までお問合せください。問診情報提供書(紹介状)の作成もお願いいたします。
背骨 は正式には脊柱(せきちゅう)と呼ばれ、椎骨(ついこつ)という24個の骨の連なりから成り立っています。これら椎骨は頚椎(けいつい)7個、胸椎(きょうつい)12個、腰椎(ようつい)5個に分けられます。脊柱は正面から見るとまっすぐに見えますが、横から見た場合はS字に湾曲しています。このS 字カーブが保たれなくなると、腰椎同士をつなぐ靭帯や椎間板(ついかんばん)、腰を取り囲む筋肉等に負担がかかり、腰の神経が圧迫や刺激を受ける原因となります。
腰痛は、多くの人が抱えている症状で、とても一般的なものです(表1)。平成28年度の厚生労働省の国民の自覚症状の調査では、男性では1位、女性では2位で合計では1位となっています。腰痛はいろいろなことが原因となります。最も多い原因は、腰椎(腰骨)の一部である椎間板や椎間関節と呼ばれる部位の退行性変化(老化)によって起こるものです。これに不良(悪い)姿勢が重なると腰痛がさらに起こりやすくなります。その他、腰痛の原因となる特別な病気として、腰椎椎間板ヘルニア、脊椎分離症・すべり症、腰部脊柱管狭窄症などがあげられます。
腰痛の経過は一般的に良好で、1~2週間で痛みは和らぐのが普通です。 しかし、起き上がれないほど激しい痛みがある場合、痛みが長引き快方に向かわない場合、腰痛以外に下肢症状(足の痛み・しびれ感)が出る場合などには特別な病気の可能性があるので注意が必要です。
手がしびれて、上手に動かせない、つかめない、もっと具体的に言えば、箸が使いにくくなった、ボタン掛けがしにくくなった、財布から硬貨を取り出しにくくなった、などの症状は、手指の巧緻(こうち)運動障害といわれ、頚髄障害の重要な徴候です。また、肩を挙げたり、肘を曲げたりする力が弱くなった、握力が弱くなった、などの筋肉の力が弱くなる症状も、筋力麻痺によるもので脊髄神経障害のひとつです。
歩くことが障害される病気はいくつかありますが、脊椎が関係するものとしては腰部脊柱管狭窄症が代表的です。じっとしていると症状はありませんが、立ったり歩いたりすると下肢に痛みやしびれ感がでます。腰にある脊椎は腰椎と呼ばれます。この腰椎を通る神経の通り道が狭くなることが原因です。しびれ感や痛みは両方の下肢にでることもあれば片方だけの場合もあります。また下肢の力が抜けたり足のゆびがあがりにくくなるなどの症状がでることがあります。立ち止まってしゃがむと楽になることが特徴的で間欠性跛行(はこう)と呼びます。
頚椎の中を通る頚髄から枝分かれした神経根が上肢の感覚や運動を支配しています。したがって、頚椎椎間板ヘルニア、頚椎症、後縦靭帯骨化症などの頚椎の病気が原因で神経根が圧迫されて上肢や肩甲骨の周囲に痛みを生じることがあり、神経根症と呼ばれます。頚を後ろに反らせたり、左右どちらかに傾けることにより症状が悪化する傾向があり、日常生活でも頚椎の姿勢に気を付ける必要があります。薬物療法、頚椎装具(頚椎カラー)、牽引療法、ブロック療法などの保存療法で大半は改善します。3~6か月以上の保存的治療で改善せず、日常生活に支障をきたしている場合に手術療法を検討します。
下肢の痛みの原因には、下肢の関節障害や、骨・筋肉に異常がある場合もありますが、腰からの神経が原因となっている場合も少なくありません。特に長時間の立位や歩行時に下肢痛を感じる場合は、高齢者では腰部脊柱管狭窄症(腰の神経の通り道である脊柱管が狭くなっている状態)、若年者では腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症などの腰の疾患に起因していることが多く、整形外科専門医を受診する必要があります。また、寝ている時や安静時にも下肢痛がある場合は、背骨の腫瘍や神経の腫瘍、炎症などを合併していることもあり、脊椎脊髄病の専門医の診察をお勧めします。つまり腰痛に下肢痛を伴っている場合、正確な診断をつけた上で治療を受けることが早く痛みを直すことにつながります。特に足の力が入りにくくなったり、排尿や排便が以前と違うといった症状を伴っている場合には、神経の麻痺がすでに生じています。診断や治療が遅れると麻痺が治らない場合がありますので脊椎脊髄病の専門医に診察をできるだけ早く受けることをお勧めします。
下肢の痛みの原因には、下肢の関節障害や、骨・筋肉に異常がある場合もありますが、腰からの神経が原因となっている場合も少なくありません。特に長時間の立位や歩行時に下肢痛を感じる場合は、高齢者では腰部脊柱管狭窄症(腰の神経の通り道である脊柱管が狭くなっている状態)、若年者では腰椎椎間板ヘルニアや腰椎分離症などの腰の疾患に起因していることが多く、整形外科専門医を受診する必要があります。また、寝ている時や安静時にも下肢痛がある場合は、背骨の腫瘍や神経の腫瘍、炎症などを合併していることもあり、脊椎脊髄病の専門医の診察をお勧めします。つまり腰痛に下肢痛を伴っている場合、正確な診断をつけた上で治療を受けることが早く痛みを直すことにつながります。特に足の力が入りにくくなったり、排尿や排便が以前と違うといった症状を伴っている場合には、神経の麻痺がすでに生じています。診断や治療が遅れると麻痺が治らない場合がありますので脊椎脊髄病の専門医に診察をできるだけ早く受けることをお勧めします。
激しいスポーツは時に運動器障害の原因となり、肩、肘、膝などの関節のほか、腰痛を生じることもあります。スポーツ人口の10~15%は腰痛を自覚していると報告されています。若年者の腰痛を引き起こす障害で代表的なものが腰椎分離症です。これは腰椎の一部で骨が分離した状態であり、原因は繰り返す運動によって腰椎に生じる疲労骨折と言われています。小・中学生のスポーツ選手におこりやすく、腰痛や下肢痛を生じます。スポーツの種別は様々ですが、特に野球やサッカー選手に多いようです。この病気は早期に診断できれば装具などによる治療で分離した部分を癒合させることも可能ですが、稀に手術が必要になることもあります。この年齢のお子さんが腰痛を訴える場合には早めに専門医の受診が必要です。その他、スポーツによって発症・悪化する疾患として、腰椎椎間板症、腰椎椎間板ヘルニア、頚椎椎間板ヘルニアなどのほか、頸髄損傷などの外傷があります。後に重篤な機能障害を招く可能性もありますので、症状が治まらない場合は、早期診断と適切な治療のために脊椎専門医の受診をお勧めします。
日本脊椎脊髄病学会HP - 脊椎脊髄疾患 - より引用